「猫にマタタビ」ということわざがある通り、猫といえばマタタビ。 ひと嗅ぎした途端、ゴロゴロと転がり、くねくねと踊り、うっとりした表情になる…。
まるで酔っ払ったオジサンのような愛猫を見て、「これって麻薬なんじゃ…?」「体に悪くないの?」と心配になったことはありませんか?
実は近年の研究で、あの行動には**「生きるための重要な目的」**があることが判明しました。今回は、猫がマタタビに夢中になる驚きの理由と、正しい与え方について解説します。
マタタビを嗅ぐとどうなる?「マタタビ踊り」の正体
マタタビ(木天蓼:もくてんりょう)を与えられた猫は、以下のような反応を見せます。
- 体を床にこすりつける(スリスリ)
- ゴロゴロと喉を鳴らす
- よだれを垂らす
- 甘噛みやキックをする
この一連の動作は**「マタタビ踊り」**とも呼ばれます。 個体差はありますが、反応は数分〜10分程度続き、満足すると何事もなかったかのように通常モードに戻ります。
理由は「快楽」だけじゃない!最新研究でわかった「蚊除け説」
長年、猫がマタタビに反応するのは「単に脳が麻痺して気持ちいいから(幻覚作用)」だと考えられてきました。 しかし2021年、岩手大学などの研究チームが発表した論文によって、常識が覆されました。
猫がマタタビに反応する真の理由。それは、**「蚊を撃退するため」**だったのです。
蚊を寄せ付けない成分「ネペタラクトール」
マタタビの葉や実には、「ネペタラクトール」などの成分が含まれています。 研究によると、この成分には蚊を忌避する(寄せ付けない)強力な効果があることがわかりました。
つまり、猫が必死にマタタビに体をこすりつけているのは、**「天然の虫除けスプレーを全身に塗っている」**状態なのです。
なぜ「うっとり」するの?
「虫除け作業なら、真顔でやればいいのでは?」と思いますよね。 実は、この成分を感知すると、猫の脳内では**「β-エンドルフィン(脳内麻薬物質)」**が分泌され、幸福感を感じるシステムになっています。
「これを体に塗ると気持ちいいぞ!」と脳にご褒美を与えることで、猫に積極的に虫除け行動をさせている…というのが、進化の過程で猫が獲得した生存戦略なのです。
マタタビは危険?中毒性は?
「脳内麻薬」と聞くと怖くなりますが、マタタビに依存性や中毒性はないとされています。 効果は一時的なもので、時間が経てばケロっと元に戻ります。基本的には安全な植物ですが、与え方には注意が必要です。
一度に大量に与えると、中枢神経が過剰に刺激され、呼吸困難やパニック状態になる可能性があります。市販の粉末なら「耳かき1杯程度」が適量です。また、興奮しすぎて飼い主さんや同居猫に噛み付いてしまうこともあるため、多頭飼いの場合は別の部屋で個別に与えるのがおすすめです。
脳神経に作用するため、てんかんの持病がある猫には発作を誘発する恐れがあります。獣医師に相談してから使用してください。
マタタビには「粉末」「液体(スプレー)」「枝」「実」などのタイプがあります。
特に「実」は効果が強いため人気ですが、興奮してそのまま丸飲みし、喉や腸に詰まらせる事故が起きやすいです。与える際は必ず飼い主さんが見守ってください。
豆知識:反応しない猫もいる?
「うちの子、全く興味を示さない」という場合も安心してください。マタタビへの反応には個体差があり、特に子猫や一部の老猫は反応しないことが多いです。反応しなくても健康上の問題はありません。
まとめ:マタタビは猫の「生きる知恵」だった
- 猫が酔うのは、蚊を撃退する成分を体に塗るため。
- 脳内物質が出て「気持ちいい」と感じることで、虫除け行動を促進している。
- 依存性はないが、与えすぎや誤飲には注意が必要。
「ただのラリってる猫」だと思っていたあの姿、実は「感染症から身を守るための賢い行動」だったとは驚きですよね。 次に愛猫がマタタビで踊っているのを見たら、「おっ、今日も入念に虫除けしてるね!」と褒めてあげてくださいね。
