「黒猫が前を横切ると不吉……」 そんな言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。でも、もし黒猫に出会ったときに「今日はツイてないな」なんて思っているとしたら、それは人生における大きな損をしていると言わざるを得ません。
実は、世界中の多くの文化において、黒猫は「最強のラッキーキャット」として崇められてきた背景があるんです。むしろ、彼らが目の前を通り過ぎるのは「幸運の女神が会いに来た」のと同じくらい、おめでたいこと。
今回は、知られざる黒猫の「福招き」の物語と、そのミステリアスな毛色に隠された驚きのパワーを、愛を込めて徹底的に紐解いていきます。
1, なぜ「不吉」と言われたのか?黒猫が背負わされた悲劇の誤解

まず最初に、なぜ黒猫が不吉だというイメージを持たれてしまったのか、その誤解の正体をはっきりさせておきましょう。
その発端は、中世ヨーロッパの「魔女狩り」の時代に遡ります。夜の闇に紛れる真っ黒な体、暗闇で怪しく光る瞳。当時の人々は、その姿を「悪魔の使い」や「魔女が姿を変えたもの」だと勝手に決めつけてしまったのです。1230年代、教皇グレゴリウス9世が発した文書などが、この偏見を加速させた一因とも言われています。
しかし、これはあくまで人間側が作り上げたネガティブな妄想に過ぎません。それより前の古代エジプトでは、黒猫はバステト女神の化身として大切に保護されていましたし、他の多くの地域では「闇を追い払う光の守護者」として扱われてきました。
つまり、「不吉」というレッテルは、長い猫の歴史の中ではほんの一時期、一部の地域で生まれた「猫界最大の風評被害」だったのです。現代の私たちは、そんな古い偏見をアップデートして、彼らが本来持っている「幸運のパワー」に注目すべきなのです。
2, イギリスでは「結婚祝い」の定番?世界が認める黒猫の幸運パワー

ヨーロッパの一部で不吉とされた一方で、お隣の国イギリスやスコットランドでは、黒猫は「富と繁栄の象徴」として正反対の扱いを受けてきました。
特に有名なのが、イギリスのミッドランド地方に伝わる「黒猫を結婚祝いに贈ると、その花嫁は幸せになれる」という習慣です。黒猫は女性の魅力を高め、悪い縁を遠ざけてくれると信じられていたため、新婚家庭に黒猫がいることは最高の守り神でした。
さらに、海に囲まれたイギリスらしいエピソードもあります。かつて大航海時代、船乗りたちの間では「黒猫を船に乗せると、嵐を鎮め、無事に家に帰ることができる」というジンクスがありました。妻たちは、海に出る夫の無事を祈って、家に黒猫を置いておくこともあったそうです。
なぜ黒猫が選ばれたのか。それは、黒という色が「あらゆる災厄を吸収して消し去る」と考えられていたから。彼らはまさに、自分たちの身を挺して人間を守ってくれる、最強のガードマンだったというわけですね。
3, 日本では「福猫」の代名詞!江戸の人々が愛した黒猫の裏側
実はここ日本でも、江戸時代から黒猫は「福猫(ふくねこ)」と呼ばれ、絶大な人気を誇っていました。
当時の日本では、黒猫を飼うと「結核が治る」「恋の病が叶う」という強い信仰があったのです。実際に、あの有名な作家・夏目漱石の『吾輩は猫である』のモデルとなった猫も、実は迷い込んできた黒猫だったと言われています。漱石の妻・鏡子夫人が「黒猫は福を持ってくる」と言って大切に扱ったことで、漱石の執筆活動が成功した……なんて説もあるほどです。
また、商売繁盛のシンボル「招き猫」にも、実は黒いバージョンが存在します。白い招き猫が「金運」を呼ぶのに対し、黒い招き猫は「魔除け・厄除け」の力が非常に強いとされています。病気やトラブルを追い払い、結果として商売を安泰させる。江戸の商売人たちは、その実力をちゃんと見抜いていたんですね。
現代でも、大手の運送会社がロゴマークに採用しているように、私たちの生活に溶け込んでいる黒猫。彼らが荷物と一緒に「安心」を届けてくれる姿は、まさに現代版の福猫そのものと言えるかもしれません。
4, 科学的な視点からも?黒猫が「人懐っこい」と言われる意外な理由
最後に、黒猫の性格についても触れておきましょう。実は、黒猫を飼っている人の多くが「黒猫はとにかく甘えん坊で、性格が良い」と口を揃えます。
これには、面白い仮説があります。黒猫は目立ちにくい毛色をしているため、野生下では生き残るために「人間と協力する」という道を選びやすく、その結果として人懐っこい個体が選ばれてきたのではないか、という説です。
また、ある大学の研究データでは、黒猫は他の毛色の猫に比べて「環境適応能力が高い」傾向にあるとも言われています。新しい環境や知らない人に対しても落ち着いて接することができる。これこそが、多くの家庭で「一緒に暮らしやすい」と愛される理由なんです。
見た目はミステリアスでクールなのに、中身はデレデレの甘えん坊。このギャップこそが、一度黒猫を飼った人が「次も絶対に黒猫がいい」と虜になってしまう最大の魅力なのかもしれません。
5.まとめ
いかがでしたか?「不吉」という古いイメージを脱ぎ捨てて見てみれば、黒猫ほど愛おしく、そして頼もしい存在はいません。
もし明日、あなたの前を黒猫が横切ったら、それは不吉な予兆ではなく、「これから良いことが始まるよ」という黒猫からのサインです。ぜひ「ありがとう」と微笑み返してあげてください。その瞬間から、あなたも黒猫の魔法にかかり、幸運への第一歩を踏み出しているはずですよ。
参考文献・情報源リスト
- National Geographic(Black cats and their history)
- 新宿区立漱石山房記念館(夏目漱石と猫のエピソード)
- Cats Protection UK(Black cat facts and adoption)
- 世田谷区 豪徳寺(招き猫の由来と種類)
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