猫と暮らす日常の中で、常に隣り合わせにあるのが腎臓病という不安です。これまで「高齢になれば避けられない運命」とされてきたこの病に、いま劇的な変化が訪れています。その鍵を握るのが、世紀の発見と呼ばれるタンパク質「AIM(エーアイエム)」です。
1, 猫だけが持つ「弱点」を克服。AIM研究が起こす治療の変革

猫の死因の第1位(※アニコム家庭どうぶつ白書より)として君臨し続けてきた腎臓病。なぜこれほどまでに多くの猫が患うのか、その謎を解明したのがAIM医学研究所の宮﨑徹教授です。
「AIM」とは、血液中に存在する掃除屋のようなタンパク質です。 体内で発生した「ゴミ(老廃物)」に標識を付け、除去を促す役割を担っています。しかし、猫のAIMだけは生まれつき機能しておらず、腎臓にゴミが溜まり続けてしまうという致命的な弱点があることが判明しました。
この「動かないAIM」を呼び覚まし、腎臓の機能をサポートする「AIM創薬」がいま、実用化の最終段階にあります。これは単なる症状の緩和ではなく、原因に直接アプローチする、これまでにない根本的な治療の形です。
2, 承認申請へのカウントダウン。着実に進む実用化への道のり

かつては「いつか実現すればいいな」という希望だったものが、いま、動物病院で実際に処方される薬としての輪郭をはっきりと現しています。
- 治験で見えた確かな希望: 実際の猫を対象とした治験では、重症(ステージ3b)の猫においても生存率の劇的な改善が確認されました。食欲が戻り、毛並みが回復するといった、目に見える変化が数多く報告されています。
- 実用化に向けた最終段階: 開発チームは現在、当局への製造販売承認申請に向けた最終調整に入っています。予定通りに進めば、そう遠くない将来、私たちの愛猫がこの治療を受けられる日がやってきます。
- 「不治の病」からの脱却: これまでの対症療法(点滴や食事療法)に加え、AIMという根本的な治療の選択肢が増えることで、獣医療は歴史的な転換点を迎えます。
3, 寿命30歳の未来へ。私たちが今日からできる「AIMケア」
「30歳まで元気に一緒にいられる」という目標は、もはや空想ではありません。お薬の登場を待つ間にも、日々の生活の中で取り入れられるケアが広がっています。
現在、店頭に並んでいる「AIM30」などのフードやサプリメントは、薬そのものではありませんが、体内のAIMをサポートするアミノ酸(L-シスチンなど)が配合されています。
【実際の活用シーン】 「療法食を食べなくなったシニア期に、AIM30のトッピングを試したら食欲が戻った」「若いうちから腎臓ケアを意識した食事を選ぶことで、新薬が登場する未来へのバトンを繋いでいる」
こうした日々の積み重ねと、近く登場する新薬が組み合わさることで、猫たちの寿命は飛躍的に延びていくはずです。
4, まとめ:新しい未来のために、今日から私たちができること
猫の腎臓病が「治る病気」へと変わる歴史的な転換点に、私たちは立ち会っています。AIM研究の進展は、これまで諦めるしかなかった多くの家族に、かつてない希望をもたらしました。
しかし、お薬の登場を待つだけではなく、その恩恵を最大限に受けられるよう、今から準備できることがいくつかあります。
- 「いつもの様子」を記録する: 腎臓病は初期段階では症状が出にくいものです。飲水量の変化や尿の回数、体重の推移を週に一度メモする習慣をつけましょう。
- 健康診断の頻度を見直す: 7歳を過ぎたら、年に2回の定期検診(血液検査・尿検査)を推奨します。AIM治療も、早期発見・早期治療が鍵となることに変わりはありません。
- 食事の質にこだわる: AIMを活性化させる成分が含まれたフードや、腎臓に配慮した高品質なタンパク質の食事を、かかりつけの獣医師と相談しながら選んでみてください。
「30歳まで一緒に」という願いは、科学の進歩と、私たちの細やかなケアが組み合わさることで現実のものとなります。まずは愛猫の最新の尿検査結果を確認することから、新しい未来への一歩を始めてみませんか。
参考文献・情報源リスト
- 一般社団法人AIM医学研究所 公式サイト
- 株式会社 IAM CAT(AIM創薬開発支援)
- 時事通信出版局『猫が30歳まで生きる日』特設ページ
- 産経ニュース:<独自>ネコの腎臓病新薬、早ければ年内にも実用化へ(2026年1月7日)
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