猫を学び猫を愛でる猫好きのための「世界で一番美しい猫の図鑑」

世の中にはたくさんの品種の猫がいます。そのそれぞれが、いつどこで、どんなふうにして生み出されたのかを知ることができる1冊、それが「世界で一番美しい猫の図鑑」です。

本書は俗に「血統書付き」とも呼ばれる純血種の猫55品種の特徴や歴史を学べる猫学の入門書でありつつ、同時に眺めているだけで溜め息が漏れそうになる美麗な猫の写真集でもあります。

この記事では数多くの猫好きの心を捕らえて離さない本書の魅力を紹介します。

猫の歴史と55の品種について学べる優れた入門書

本書のいちばんの魅力は、猫を知るための入門書として優れているところです。

本書で最初に学べるのは、猫という生き物の歴史です。

中東の砂漠で暮らしていた猫の祖先=ヤマネコが徐々に人の社会に入り込んできて、長い時間を経てペットとして愛される存在に変わっていった経緯が紹介されています。

また、メジャーな猫55品種のそれぞれが備えている外見的な特徴や性格、どのようにして生み出されて品種として確立されていったのかを詳しく知ることができます。

猫の歴史だけでなく、さまざまな猫の品種について学びたい人が適切な知識を得るための参考書としての価値があるのです。

猫を愛する人の知的好奇心を満たすことのできる1冊と言えるでしょう。

芸術作品のような美しい猫の写真がふんだんに楽しめる

掲載されている写真の素晴らしさも本書の大きな魅力です。

A4変形(実測で245×297mm)の紙面にはそれぞれの品種の猫たちの写真がふんだんに使われています。かわいらしさを売りにするタイプの猫の写真集とは一線を画す上質な芸術作品のような美しさが持ち味です。ときに凛々しく、あるいはセクシーにページを飾る猫たちの姿を眺めるのは、猫好きならずとも頬がゆるむ体験でしょう。

ただし、図鑑らしい説明的な写真はありません。日本語の書名から図鑑としての機能を期待して見ると、もしかすると肩透かしを食らったような気持ちになるかもしれません。

とは言え、原題が「THE BEAUTY OF THE CAT」であることから考えれば、そういった説明的な写真やイラストがないのは当然で、そこに引っ掛かりを感じなくもないのですが、それで本書の価値が下がるとも思えませんのでご安心ください。

この「世界で一番美しい猫の図鑑」が万人向けではないところは重さと価格の高さです。

大判で厚みのある用紙を使った287ページの書籍であるだけに、およそ1.8kg(実測値)もの重さがあります。そのうえ税込み4,180円という価格はけして安いとは言えません。この本を抱えてレジに向かうのには少しばかり気合いが必要かもしれません。

しかし、それを乗り越えさえすれば、あとはもう好きなだけ深い知識に触れ、美しい写真の数々を堪能できるのです。猫好きなら間違いなく幸せを感じるはずです。

猫が好きな方へのプレゼントとしても、ご自分へのご褒美としても素敵な1冊であるのは間違いありません。