猫が信じられないほど狭い隙間に入り込む姿を見て、「猫は液体なのでは?」と思ったことはありませんか?実はこれ、物理学賞も授与された真面目な研究テーマなんです。猫の驚異的な柔軟性の秘密から、最新の科学的知見まで、その不思議な生態を詳しく解説します。
1, 「猫は液体である」は冗談じゃなかった!?物理学が証明した驚きの事実

猫と暮らしていると、金魚鉢にぴったり収まったり、細い排水溝からヌルリと出てきたりする姿を見て「うちの子、骨がないのかも?」と疑いたくなる瞬間がありますよね。インターネット上で長年愛されてきた「猫は液体説」ですが、実はこれ、単なるジョークではなく、科学の世界で大真面目に証明されているんです。
2017年、フランスの研究者アントアン・ファルダン博士は、「猫は固体か、それとも液体か?」という論文を発表しました。このユニークかつ鋭い視点の研究は、世界中を驚かせ、なんと**イグノーベル賞(物理学賞)**を受賞したのです。
物理学において、液体の定義とは「容器に合わせて形を変え、その形を維持できるもの」を指します。ファルダン博士は、猫が小さな箱やボウルの中で完璧にその形にフィットする様子を流体力学の視点から分析しました。その結果、「猫は状況に応じて、固体としても液体としても振る舞うことができる」と結論づけられたのです。
特に若い猫ほど「液体」としての性質が強く、容器に馴染むスピードも速いのだとか。愛猫が無理そうな隙間にスッと吸い込まれていくのは、まさに物理法則を味方につけた、彼らならではの特殊能力といえるでしょう。
2, 秘密は「浮いている骨」にあり!驚異の柔軟性を支える解剖学
では、なぜ猫の体はこれほどまでに柔らかいのでしょうか。その秘密は、人間とは決定的に異なる**「骨格の構造」**に隠されています。
最大のポイントは、猫の「鎖骨」にあります。 人間の鎖骨は、肩甲骨と胸骨をしっかりつなぐ突っ張り棒のような役割をしていて、腕を動かす範囲を制限しています。しかし、猫の鎖骨は退化して非常に小さくなっており、他の骨と直接つながっていません。筋肉の中に「ポツン」と浮いているような状態なのです。
この「浮いた鎖骨」のおかげで、猫は肩幅を劇的に縮めることができます。
- 「頭さえ通れば、体も通る」と言われるのはこのため
- 左右の肩甲骨を背中の中心でくっつけることも可能
この特殊な構造があるからこそ、猫は自分の頭の幅しかない狭い隙間でも、肩をすぼめてスルリと通り抜けることができるのです。
さらに、脊椎(背骨)の数も人間より多く、椎間板も非常に柔軟です。人間の脊椎が約33個なのに対し、猫は尻尾まで含めると50個以上の骨が連なっています。これらがしなやかな筋肉でつながっているため、猫は自分の体を180度以上ねじったり、弓なりに大きく曲げたりすることが可能なのです。
3, 狭いところへ「溶け込む」のは、野生の血が騒ぐから?
猫がわざわざ「液体化」してまで狭い場所に収まろうとするのには、生存戦略に基づいた深い理由があります。
一つ目は、**「圧倒的な安心感」**です。 野生時代の猫にとって、自分の体にフィットする狭い場所は、外敵から身を守るための最高の隠れ家でした。四方を壁に囲まれている状態は、背後から襲われる心配がないため、脳がリラックス状態になりやすいと言われています。
二つ目は、**「体温保持」**です。 猫の平熱は38度台と人間より少し高め。狭い箱の中に「液体」のように密着して収まることで、自分の体温を逃がさず、効率的に暖を取ることができます。冬場に猫が「アンモニャイト」と呼ばれるほど丸くなるのも、表面積を最小限にして熱を逃がさないための知恵なのです。
また、最新の研究では、猫が狭い場所に入ることでストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が抑えられるというデータも出ています。シェルターに保護された猫に隠れられる箱を与えたところ、箱がない猫に比べて環境への適応が早かったという実験結果もあるほど。猫にとって「液体化」できる場所は、心の平穏を保つための聖域なのです。
4, まとめ:愛猫の「液体化」を安全に楽しむためのヒント
猫の驚くべき柔軟性は、物理学と解剖学、そして野生の知恵が融合した「奇跡のボディ」によるものでした。愛猫がボウルや箱に溶け込んでいる姿は、彼らが心からリラックスし、その場所を信頼している証拠でもあります。
もし愛猫に、より快適な「液体化ライフ」をプレゼントしたいなら、こんな工夫がおすすめです。
- 「器」のバリエーションを増やす: ぴったりサイズだけでなく、少し小さめの箱や、夏場はひんやりしたアルミボウルを用意してみましょう。
- 脱走防止の再チェック: 「頭が通れば体も通る」ことを忘れずに。網戸の隙間やフェンスの間隔など、猫にとっては余裕で通り抜けられる「液体化ルート」になっていないか、改めて確認が必要です。
猫たちの不思議な生態を知れば知るほど、その愛らしさは深まるばかり。明日、愛猫がどこかで「溶けて」いたら、ぜひその骨格の神秘に思いを馳せてみてください。
